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角膜内皮細胞について

病気について

角膜とは

角膜とは、目のなかの「黒目」の部分で、眼球の一番前にある透明な膜です。

厚さは中央部で約0.5mm、直径は11~12mmです。

眼球内への光の入り口であり、水晶体と共に入った光を屈折させるという重要な役割を持っています。

角膜の透明性維持の必要性

角膜という組織は水を78%含む組織ですが、「角膜内皮細胞」の働きで、0.5mmという一定の厚みを一定に保っています。 

角膜は透明な5層構造で、角膜内皮細胞は角膜の最も内側にある単層細胞層で、バリア機能とポンプ機能によって角膜実質の含水率を一定に保ち、角膜の透明性を維持しています。

角膜内皮細胞の役割

角膜の最も内側にある角膜内皮細胞の働きとして角膜から水分を排泄するポンプ機能があります。このポンプ機能で常に角膜内の水分を一定に保つことで角膜の厚みや透明性が維持されています。 正常の角膜内皮細胞は、2500-3000個/mm2の密度の六角形の多角形細胞から構成されますが、角膜内皮細胞は、生まれてから増えることがなく、そして一旦傷ついても再生することもありません。

水疱性角膜症

水疱性角膜症は、角膜内皮細胞が障害をうけた結果500個/mm2以下に減少し、ポンプ機能が働かなくなり角膜に水がたまってしまう状態です。

角膜の厚さが著しく増した状態となります。この状態を「浮腫」といい、角膜浮腫では、角膜の厚さが1mmにもなることもあります。このような状態では、角膜がしろく濁り、非常に見えにくくなります。また、浮腫のために、角膜の表面を覆っている角膜上皮がはがれやすくなるので、眼に激痛をともなう仕組みになっています。

内皮細胞減少の原因

1.レーザー虹彩切開(閉塞隅角緑内障発作の治療、予防のため)
2.急性緑内障発作
3.白内障手術など目の手術
4.目の中の炎症(ポスナーシュロスマン症候群などぶどう膜炎)
5.先天性、遺伝性の内因疾患
6.コンタクトレンズの使用
7.外傷
8.加齢

症状

角膜が浮腫状に混濁することにより、視力が低下します。また、角膜上皮が剥がれると激しい痛みが生じることがあります。

診断

細隙灯顕微鏡検査で角膜が浮腫状に混濁している所見があり、角膜厚の増加、スペキュラーマイクロスコープという検査機器で角膜内皮細胞密度の低下(500個/mm2以下、もしくは測定不能)を認めると診断されます。

治療

視力の低下が軽度であればそのまま経過をみます。

しかし角膜上皮が剥がれた結果痛みがある場合は、ソフトコンタクトレンズの装用や高張食塩水の点眼、軟膏で症状改善を試みます。

ソフトコンタクトレンズでは角膜を保護し瞼でこすれるのを防いでくれるのです。

一方、高張食塩水の点眼や軟膏の治療では浸透圧の作用で角膜内に溜まった水分を一時的に排出する効果があります。

しかし、高度な視力低下があり、ソフトコンタクトレンズや高張食塩水で痛みが軽減しない場合などは、角膜移植が最後の治療となってきます。 以前は全層角膜移植のみを行っていましたが、近年は角膜のパーツ移植が可能となり、障害部位のみを移植する方法が発達してきました。水疱性角膜症は内皮細胞が障害されていますので、角膜内皮細胞を移植する角膜内皮移植が行われるようになってきました。水疱性角膜症の罹患期間が長い例や浮腫が強い例、緑内障の手術をされている例などは適応にならない場合もあります。

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