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子どもの近視について:注意すべきは?

病気について

窪田眼科医院より眼についての情報をお届けいたします。

今回は子どもの近視について説明します。

近視とは?

眼はよくカメラの構造にたとえられます。

物体に反射した光は角膜や、水晶体といった透明なカメラのレンズを通り、網膜というフィルムに投影され視神経を通り脳に伝わり、物体が認識されます。

その過程で網膜に投影される際、網膜の手前で焦点が合う状態、これを“近視”といいます。

近くの物体を見るときにはピントが合うのですが、遠くの物体はピントが合わなくぼやけて見えるようになります。近視が強い人は、物を近づけてみることになります。

正視眼(近視も遠視もない状態、網膜上でピントが合う)
近視眼(ピントが網膜の手前で合う)

近視の病態は?

近視の病態としては、一般的に人生の中で子どもの体の成長と共に眼も同様に成長し伸びていく軸性近視というものがほとんどです。

そしてある程度のところまで成長すると16歳くらいで眼球の成長もストップし、近視の進行もストップすることが多いです。

近視の度数として以下のように分類されます。

 弱度近視 -3D(ジオプトリ-)以下

 中等度  -3D~-6D

 強度近視 -6Dを超える

近視の原因は?

では何が原因なのでしょう。

近視の原因は正直なところわかってはいませんが、①遺伝と②環境が関与しているといわれています。

遺伝因子

遺伝の関与については、アメリカの報告で両親が共に近視である子どもは、片親が近視である子どもよりも近視になりやすいという結果になり、台湾での報告では環境因子の影響を加味しても、親が強度近視であると子どもも早い段階で強い近視を生じるという結果がありました。

環境因子

環境の関与は近くの作業を長時間することや、屋外活動の少なさが原因であるといわれています。日本だけでなく、アジア、欧米諸国でも小中学生の近視が問題に取り上げられてきており、パソコン、スマートフォン、ゲームなどの普及が関係しているのではないかといわれています。

しかし一方では近業作業が多くても近視にならない子どももいるわけで、眼を使いすぎることが必ずしも原因であるとも言い切れません。

こういったことから①遺伝や②環境が複雑に絡み合って近視が起きるものと考えられます。

近視の治療は?

では、近視の治療ってできるの?

残念ながら近視の進行を止めることは難しいのです。(なぜなら子どもの眼の成長は体の成長に伴うものですから)

対応策

近視の対応としては、学校での黒板の字が見にくくなったら眼鏡で矯正しましょう。ただ眼鏡を作るにも眼科で検査を受けて適切な眼鏡処方を受けることをお勧めします。

また、コンタクトレンズにおいても処方やコンタクトレンズによる目の合併症を避けるために眼科での定期検査が必要となっておりますので、インターネットなどで自己購入されることはお勧めできません。(コンタクトレンズは、高度管理医療機器に指定されています)

予防策

近視の進行を抑える効果がある具体的な例として

”明るい屋外で活動をする”

“読書など近くを見るとき、正しい姿勢で30cm以上距離をとる”

“HB以上の濃い鉛筆を使い、字は小さく書かない”

“暗闇で本を読まない”

“乗り物の中で本を読んだり、寝転がって本を読んだりしない”

“椅子や机は自分の体にあった物を使う、姿勢に気をつける”

“テレビは離れて、長時間見ない。見るときは、30分毎くらいに休憩を入れる”

などが挙げられます。

要するに、”十分に距離を取ること”、”眼の緊張状態を長時間持続させないこと” だと言えます。

世間一般に言われるゲーム機やパソコン、スマートフォンの長時間の使用が近視の進行に影響するのかというと、明確なエビデンス(証拠)はありませんが、近くの作業が増えると自然と距離が近くなるため注意しましょう。

治療

それでもなんとか治療・予防したい!

そのように思われる親御さんも多いと思います。

最近、近視進行を抑えるコンタクトレンズや、目薬の研究が進んできていますが近視予防治療としてお勧めできる方法は未だ確立されていません。(日本斜視弱視学会より)

最後に

現在の医療では子どもの近視は成長に伴って進行します。しかしその要因には遺伝や環境の関与が指摘されています。まず子どもにできることは環境による近視の進行の抑制です。

お近くの眼科で子どもが使用している眼鏡が合っているかどうか、半年に1回は眼科で定期検査を受けることが大切です。

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