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飛蚊症、それは網膜剥離の前兆?

病気について

こんにちは

窪田眼科医院より今回は眼の飛蚊症についてお話しします。

病気を理解していただけますよう分かりやすい言葉を使って説明いたします。

飛蚊症とは

“飛蚊症”とは?

目の前に「黒いものがとぶ」ことを眼科では飛蚊(ひぶん)症といいます。

蚊が飛んでいるように見えることを指しますが、他にもいろんな見え方があります。

水玉、ハエ、黒いスス、糸くず、お玉じゃくし、輪・・・など

また黒いものから透明なものまで色もさまざまで、数も1個から数個、時に多数のこともあります。これらのものは目を動かすと、いっしょに動いて、白い壁を背景にするとよりはっきり見えます。

原因

なぜそんな症状が出るのか?

なにが起きているの?

眼の構造

眼の断面図

飛蚊症の原因について説明する前に、まずは眼の構造から簡単に説明します。

眼の断面図ですが、眼内には透明な水晶体というカメラのレンズにあたる部分があり、硝子体という寒天状の液体(硝子体)が眼内を満たし、網膜というフィルムがあります。

眼の加齢現象

白内障や老眼など加齢現象が分かりやすく出てくるものもあれば、ピント調節能力のように20歳代から気が付かないうちに始まっているものもあります。

実は飛蚊症の多くは眼の加齢現象から起こる症状なのです。

眼の加齢
(左:正常眼 右:液化した硝子体)

左側は10~20歳代のような若いころの眼内の状態ですが、ゲル状の硝子体が薄い膜後部(こうぶ)硝子体(しょうしたい)(まく)に包まれしっかりと網膜に付着しています。

右側のように40~60歳台になってくると眼内のゲル状の硝子体が液化現象をおこし、本来付着していた硝子体の膜が離れてきます後部(こうぶ)硝子体(しょうしたい)剥離(はくり)

この後部硝子体剥離が起こると眼内に液化した硝子体が濁りとなって動き回るようになるため“飛蚊症”が起こるのです。

飛蚊症に潜む病気

と、ここまでは眼の加齢現象について簡単に説明してきました。

さて、ここから眼の病気について注意しなければいけないことを書きます。

飛蚊症には“問題のない飛蚊症”と“危険な飛蚊症”に分けられます。

“問題のない飛蚊症”

先ほどの後部(こうぶ)硝子体(しょうしたい)剥離(はくり)が眼全体でスムーズに起きれば、“問題のない飛蚊症”で済みます。

”危険な飛蚊症”

“危険な飛蚊症”は、後部(こうぶ)硝子体(しょうしたい)剥離(はくり)がスムーズに起きない状態で起こります。

 網膜裂孔、網膜剥離とは?

何らかの原因で網膜に癒着があったり、近視の強い眼のように網膜に弱い部分(網膜格子状変性)があると後部(こうぶ)硝子体(しょうしたい)剥離(はくり)が途中で止まってしまうことがあるのです。(近視が強い=眼球が引き伸ばされて網膜が薄くなっている)

後部(こうぶ)硝子体(しょうしたい)剥離(はくり)が起きる際、網膜を一緒に引っ張り網膜に裂け目をつくってしまうと“網膜裂孔“になるのです。その確率は6~19%。そこから網膜の下に水が入り込むと”裂孔原性網膜剥離”となってしまいます。

裂孔原性網膜剥離

 網膜裂孔、網膜剥離の症状

網膜裂孔や、網膜剥離の症状として以下のようなものがあります。

“数えきれないくらいほどの飛蚊症が急に出た(何時何分と指定できるくらい突然に)”

“突然波打って見える”

“数時間~数日で視野が欠けてきた(範囲は様々:下半分、内側など)”

“突然、黒いベールがかかる”

そしてこれらの症状は消えず、持続しているのが特徴です。

治療方法

では、そのような症状が出たら何をしたらよいのでしょう?

眼の加齢現象をストップすることはできません。

ですから対応策としては、上に記載したような症状が出た時、早めに眼科受診をするようにしましょう。

レーザー治療(網膜光凝固術)

例えば網膜に穴が開くだけ(網膜裂孔)であればレーザー治療で、周辺部に網膜剥離が起きないよう、または進行しないようにするための治療はできます。

手術治療(網膜復位術、硝子体手術)

しかし、一度剥がれてしまった網膜はレーザー治療では治せないため、手術が必要になってきます。(網膜復位術、硝子体手術については準備中)

まとめ

網膜裂孔、網膜剥離の原因となる飛蚊症には“問題のない飛蚊症”と、治療を要する“危険な飛蚊症”があります。

“危険な飛蚊症”を放置し、治療のタイミングを誤ってしまうと手術によっても視機能回復が困難となってしまう場合があります。

飛蚊症が出るようになったら、危険な病状のサインかもしれませんので早めに眼科受診をしましょう。

より詳細に書いてある学会サイト(※網膜硝子体学会)もご参考ください。

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