有田玲子先生のご講演の内容をまとめました。
マイボーム腺機能不全(MGD) ※MGDについて(LIME研究会)
・眼瞼、涙液の問題となる
・後部眼瞼、ドライアイを合併してくる場合もある
マイボーム腺の役割
・眼瞼側:涙が外にこぼれないように
・涙液側:油を供給し蒸発抑制
MGDはアジアで多い
・オーストラリア:50歳代で35%、60歳で51%
・アメリカ:眼科受診者の40%
・台湾:65歳以上で60%
・シンガポール:56%
・韓国:65歳以上で51%
ドライアイ
・涙液分泌減少型と蒸発亢進型に分かれる。(15.7% VS 86%, Lemp et al Cornea 2012)
・マイボーム腺機能不全MGDは蒸発亢進型の内因性に分類される。
眼瞼炎
・前部眼瞼炎と後部眼瞼炎に分類
・後部眼瞼炎(≑MGD)は分泌低下型と分泌増加型に分類される
前部眼瞼炎
・診断のコツは睫毛昆布のふけ上付着物(Collarette)
・ブドウ球菌感染、P.acnesの関与のため治療は抗菌点眼となる
後部眼瞼炎
分泌低下型MGD
・マイバムを圧迫してみる
・瞼縁の血管拡張、Plugging
・起床時に症状増悪
分泌増加型MGD
・瞼縁の泡状分泌物(最近由来りぱーぜ)
・流涙感+
・眼脂がでているというが本当は出ていない。
・起床時に悪化
国際的に推奨されるMGD治療
大切なのはマイバム溶解、抗炎症、抗菌。徐々に治療をステップアップ
・マイバムの圧出
・オメガ3内服
・アジスロマイシン点眼、テトラサイクリン系点眼
・ステロイド点眼、シクロスポリン点眼
MGDチェックリスト:
- 目が疲れやすい
- なんとなく目がごろごろしたり、不快感がある
- 目ヤニがたまりやすい
- 目がかゆい
- 充血しやすい
- 涙目になりやすい
- まぶたが重い
- まぶたが熱い
- ものもらいができやすい
- まつげが減ったり、目にささったりしやすい
- まつげが汚れやすい
- 朝、目が開けにくい 朝、症状がひどく出やすい
※太字:ドライアイと同じ 青アンダーライン;アレルギー性結膜炎と同じ 赤色:MGDに多い症状
まとめ
有田先生の講演内容をまとめました。
特にアジア人はマイボーム腺機能不全が欧米より多いのですね。
ただ汚れているだけではなく、瞼とドライアイの関係、また機能不全についての病態生理の理解が深まり日常診療に役立てそうです。