• 地域に密着した岐阜市の眼科

特定検診における眼底検査の位置づけ ~眼底検診されていますか?~ 

おしらせ

今回は、第76回日本臨床眼科学会を拝聴したなかで、「特定検診」における眼底検査の重要性を感じた講演がありましたので、一部紹介させていただきます。

平塚先生(イントロダクション)

眼底検査というのは、人体の血管を直接観察できる唯一の場所を観察する場面であり、多くの眼疾患を発見することが可能な簡便な検査です。

しかし、残念ながら眼底検査の重要性を理解しているのは眼科医だけ。

日本眼科啓発会議が行った調査においてアイフレイルにおける全国調査で、一般の医師でない方に「眼疾患や検査」について専門用語を聞いたことがあるか」という質問に対して

白内障、緑内障は90%前後、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性は40%程度知っているという答えでした。
一方、検査については眼底検査、眼圧検査については70%の方が聞いたことがあるとの返答であり、視野検査は40%であり、眼底検査についての情報は比較的多くの方がご存知であるという結果でありました。

しかし、眼底検査では何を行っているかという内容で、

眼底検査でできること

①緑内障・網膜剥離・加齢黄斑変性を発見できる
②網膜や神経の状態を調べるためにこなう検査である
③糖尿病の眼病変を発見できる
④動脈硬化や高血圧の状態を確認することができる

などといった眼科医では当然といえる内容は一般の方々で50-60%程度は初めて聞いたという状態でした。

日本におけるもっとも大きな検診である「特定検診」は自治体で行われる、40~74歳の方を対象に、メタボリックシンドロームに着目した「健診」によって生活習慣病のリスクを早期に発見し、その内容を踏まえて運動習慣や食生活、喫煙といった生活習慣を見直すための「特定保健指導」を行うことで内臓脂肪を減少させ、生活習慣病の予防・改善につなげるものです。

その実施率は実は50%にとどまっており、さらに「眼底検査」の対象は下記①②のいずれかの項目について基準に該当した人になっています。

①血圧 収縮期血圧 140㎜Hg以上 または 拡張期血圧 90㎜Hg以上
②血糖 空腹時または随時血糖 126mg/dl以上 または ヘモグロビンA1c 6.5%以上(NGSP値)

したがって「特定検診」を受けられたすべての方が「眼底検査」を受けているわけではありません

(※40歳以上の20人に一人の発症率である緑内障に関して、高血圧や糖尿病のない方は、「特定検診」ではスクリーニングの対象から外れてしまう)

この事実に対して自治体によっては特定検診のすべての方に眼底検査を行っているところもある。(世田谷区(東京)、松江(島根)、仙台(宮城)など)

実際に「特定検診」のなかで「眼底検査」の実施は実は20%弱と非常に低い状態であります。上記のような生活習慣病で対象とならない方の中にも、眼底異常が検出されるべき所見が多数潜んでいる可能性が高いと考えられます。

と言いますのも、特定検診の中で精密な眼科検査で診断された眼疾患は

特定検診の眼底検査で診断された眼疾患

① 緑内障:12%
② 白内障:5~6%
③ 黄斑前膜:3%
④ 黄斑変性、糖尿病網膜症:1%

という結果になり、緑内障が最も多くその80%近くは初めて緑内障と指摘されたものであると判断されておりました。つまり「特定検診」の「眼底検査」から見つけられる疾患は糖尿病網膜症などの生活習慣病とは関連のない疾患のほうが多い事が分かります

国としては「特定検診」の受診率アップが目標とされています。(目標70%に対して現在50%程度です)

大阪大学 川崎 良先生

「健診・検診における眼底検査の課題と展望」

☆ 高血圧網膜症の分類
Keith-Wagener分類 :1939年に故血圧に伴う網膜所見を基に、高血圧患者の死亡リスクを4つに送別化することができると報告 ⇒ 以後使用されている高血圧の眼底所見を評価する指標となります。
しかし、1939年という血圧コントロールも現在と比較すると十分になされていない状況を考慮され、最近では新たな分類が加えられました。

Wong-Mitchell分類

日本人間ドック学会より

現在日本は人口減少傾向にあるが高齢者は2040年まで減少せずという状況です。

 心疾患、脳血管障害に加え認知症が進む中で第3次健康日本21の方向性でとして生活機能向上ぬ向けて視機能というのが大きく影響していく。2019年の国民生活基礎調査の中では、病院通院者の疾患内訳として男性は高血圧、糖尿病、歯の病気に続き4位、女性は高血圧、脂質異常症に続き第3位であることが判明しています。

現在失明原因は 

 第1位 緑内障
 第2位 網膜色素変性
 第3位 糖尿病網膜症
 第4位 加齢黄斑変性

でありますが、それらのすべては眼底写真で判別可能な疾患であります。これらの疾患の早期発見が重要になってきます。

見える見えないが歩行の問題であったり、認知機能の問題であったり、社会性の低下にもつながっていく。これらがアイフレイルにおける健康寿命の短縮につながっていくため重要になってくる。

AI解析で加速する眼底バイオマーカー研究

眼底写真から5年までの循環器疾患の予測が可能という論文も報告されている(googleから)

目の写真から年齢を予測することができる。一致しなければ病気の予兆であったり、危険度を表している。

磯 博康 先生、門脇 孝 先生

磯 博康 先生からは「循環器疾患対策としての特定検診と眼底検査の位置づけ」について講演されていました。

日本は従来より高血圧のため脳卒中、脳血管障害の割合が多い国であります。一方アメリカでは脂質代謝異常から心筋梗塞の多い国であります。最近では食生活の変化から心筋梗塞は増加している状況です。

脳卒中発症の多変量解析では、高血圧と眼底出血を認めるとその発症は4倍に増加するとあり、その他心電図以上であったり、腎機能障害など2か所以上の臓器障害を伴っているとその倍率は6倍にも増加するとされています。虚血性心疾患でも同様に臓器障害を2か所以上起こると発症リスクは5倍に増加します。眼底所見としては、細動脈狭細、口径不同、交叉現象、反射増強、眼底出血があると脳卒中のリスクあファクターとして挙げられました。

門脇 孝 先生からは「糖尿病対策としての特定検診と眼底検査の位置づけ」について講演されました。

HbA1Cが6.5%以上であると糖尿病網膜症の有病率が上がる報告があります。これをもとの糖尿病の診断基準の6.5%が設定されています。

今後はHbA1Cは低ければ低いほど網膜症の発症リスクを下げられる。(低血糖発作は逆に発症リスクを上げてしまう。)発症を抑制するためにはHbA1Cは6.1%まで下げなければなりません

まとめ

残念ながら現在の特定検診のみでは、眼底疾患のスクリーニングは不十分であることを改めて感じたシンポジウムでした。

特定検診は法律の枠組みとなってしまっていることは大きな壁ではありますが、様々な法律の組み合わせで枠組みを見直し、眼底検査の重要性を見直していくことが大切であると、日本眼科学会長の白根先生がまとめられていました。

タイトルとURLをコピーしました