先週行われた岐阜の眼科セミナーにおいて、愛媛大学准教授の原 祐子先生がご講演されましたのでその内容を一部簡単にですがまとめさせていただきました。
アレルギー性結膜炎
・アレルギー性結膜炎の基本的な治療方針
治療の流れとしては、①抗アレルギー点眼 ⇒ ②ステロイド点眼 とステップアップします。
・アレルギー性結膜炎の重症型である「春季カタル」の治療方針
治療の流れとして、①免疫抑制剤+抗アレルギー点眼 ⇒ ②ステロイド点眼とステップアップします。
通常のアレルギー性結膜炎との違いは、初期の段階で免疫抑制点眼を使用することが可能であることです。
「春季カタル」は重症化すると角膜への障害をきたすため、初期の段階から抗アレルギー点眼に加え免疫抑制点眼を使用することが治療のカギとなってきます。
※春季カタルで巨大乳頭結膜炎による「シールド潰瘍」という合併症を発症仕手しまうことがあります。これはアレルギー反応の重症型で瞼の裏側に石畳のようなボコボコした所見が見られ、これが原因で角膜を持続的に傷つけることで、角膜をえぐってしまう病気です。
治療方法は、瞼の裏のアレルギー所見を改善させるために抗アレルギー点眼薬を使用したり、免疫抑制剤を使用するのですが、免疫抑制点眼は1本5mlで10,000円近くするかなり高額治療となってしまいます。
点眼回数の守れていますか?
点眼全般に言えることですが、”症状が改善しない”という患者さんは、実は「点眼回数」が守られていない可能性があります。
点眼は一般的に「1日4回(朝昼夕夜)」というものが多いのです。こどもや忙しくお仕事をされている方は朝夜の点眼はできても、昼や夕方にできないということが多々あります。そのような場合は回数の少ない点眼(2回など)をするのも方法の一つです。
実際に点眼回数が少なくなった点眼のほうが十分に効果を発揮することができ、症状が改善したという意見が多々あります。詳しくはぜひかかりつけの眼科でご確認ください。
注意!局所ステロイドスプレー(鼻噴霧用ステロイド薬)の使い方
最近は市販薬でスプレータイプの低濃度のステロイド薬があります。もちろん耳鼻科さんでも頻繁に処方される薬です。
使用方法は、鼻の中にスプレーの先端を入れた状態で鼻の中で噴出するものです。実は鼻の中に先端を入れて噴出するという動作が怖いと思われている患者さんが多く、スプレーの先端を鼻の中に入れずに噴出している方もいるという事実があります。
鼻の中に入れず、ある程度距離をとって噴出しているとどのような事になるのでしょうか?
噴出した霧状のステロイドが目の粘膜へ付着し、慢性的にそれが行われていれば高眼圧・視野欠損を生じ、ステロイド緑内障になってしまいます。
高眼圧、緑内障によって視野が欠損してしまっては手遅れとなってしまいますので、鼻の外から行わないようにご注意ください!
治療開始のタイミング
最近では抗アレルギー薬では花粉飛散時期の2週間前から使用開始するのがよいとされています。
では岐阜県だといつでしょう?
日本気象協会からは2022年の春の花粉飛散予測が発表されています(2022/1/20現在)
これによると、名古屋などの東海圏では 2 / 19 ということであり、だいたい2月に入ったら抗アレルギー点眼を開始するのが良いというところでしょうか。