本日は内斜視、なかでも調節性内斜視について説明します。※内斜視について(日本弱視斜視学会)
調節性内斜視の病態
・調節性内斜視は調節性輻輳によって生じつ内斜視で、中等度以上(2~6D程度)の遠視を認めます。
・斜視角は特に決まっていません。
・遠くをはっきり見ようとせず、ボーっと眺めているときは内斜視になりません。
・点眼や軟膏などで調節麻痺薬を使用して、遠視を完全に補正したメガネで斜視角が減少します。
・1~2歳で発症することが多いです。
分類
①屈折性調節性内斜視
・調節性内斜視の多くを占める
・中等度以上の遠視を認める
・屈折を完全矯正すれば眼位は矯正される
・近くを見るときと、遠くを見るときの眼位はほぼ同じで、両眼視は比較的良好
②非屈折異性調節性内斜視
・AC/A比が高いことで生じる(詳しくは割愛します)
・近くを見るときが遠くを見るときより10⊿以上大きく遠くを見るときの斜視角は小さい
・メガネの近用部分に+3.0D前後を加入する(老眼鏡のような)と近見眼位は改善する
③部分調節性内斜視
・完全屈折矯正のメガネをかけても10⊿以上の内斜視を呈する
・調節性内斜視と、非屈折性調節性内斜視の混合型
・両眼視機能は良好なことが多い
・残った斜視に関しては斜視手術を施行する
注意点
注意点って何かありますか?
内斜視には弱視を合併している症例が多いため弱視には注意が必要です。
①斜視弱視
・斜視があると、固視眼と斜視眼にそれぞれ別の像が投影される
・斜視眼では見ようとしなくなり抑制がおこり、結果弱視になる
・成人で新たに発症すれば複視を自覚することになるが、幼少時には複視を自覚する訴えがない
・両眼視機能は不良
②微小角斜視弱視
・10 ⊿以下の小さな角度の斜視に伴ってみられる弱視
・不同視を伴うことが多い
③不同視弱視
・左右で遠視の度数に違いが大きいと、大きい度数の目の網膜像は不鮮明になる
・そのため視力発達不全を起こす
④屈折異常弱視
・両眼ともに強い遠視度数があると生じる、両眼性の視力発達不良
・両眼視機能は良好
まとめ
部分調節性内斜視について解説しました。
小児の内斜視を見た場合、まず調節麻痺薬を用いて隠れている遠視を引き出すことが最も大切です。その後、メガネ治療で済むのか手術が必要なのかといった治療方針を判断することになります。また弱視の存在に注意が必要となります。