稀な遺伝性網膜疾患に関する症例報告のオンパレードでした。
日々の診療の中でこのような稀な疾患も隠れているかもしれないと思い、非常に勉強になりました。
近藤峰生先生
スタルガルト病
発症:小児
症状:中心暗点、視力低下
ERG:錐体桿体20-30%程度低下
OCT:黄斑EZの欠損
眼底:アーケード周囲の境界不明瞭な黄色斑
眼底自発蛍光:楕円形
Bradyopsia 遅視症
年齢:8歳
自覚:生後視力不良 0.3程度まで。羞明。動いているものがみにくい
眼底自発蛍光:正常
OCT正常
色覚正常
ERG 錐体× 桿体〇
遺伝子:RGS9遺伝子変異
鑑別 全色盲不全型
近藤寛之先生
パターンジストロフィ(良性黄色斑眼底)
眼底:後極耳側 白色~黄色斑
FAF:過蛍光 ところどころ癒合
ERG:桿体錐体 正常より軽度減弱 サブノーマル
診断;黄色斑眼底 Franceschetti1953、スタルガルト病(萎縮性黄斑変性)、パターンジストロフィ(良性黄色斑眼底)、RRPH2変異
中新世輪紋様脈絡膜ジストロフィ
病態:黄斑部の網膜色素上皮と脈絡毛細管板の進行性萎縮病変。
症状:中年期以降、視力低下、まぶしさ、視野障害
鑑別:萎縮型加齢黄斑変性と診断されている可能性
林孝彰先生
高カリウム血症に伴う一過性KCNV2網膜症様の病態疾患
K高値
OCT:EZが隆起
ERG:a派が2層性、KCNV2様
Kチャネルが高値となることで網膜内層の過分極脱分極がアンバランスなることが考えられる
堀田喜裕先生
コロイデレミア
症状:20代くらいで夜盲 視野狭窄、高齢になると確実に視力落ちる(50歳代前半で視力低下)
視野:求心性視野狭窄
OCT:網膜外層菲薄化 EZ長が短縮、年齢と負の相関
遺伝子:CHM遺伝子
RPに紛れている
Xlinked 男性
眼底:網膜血管が見える、脈絡膜血管の萎縮
治療:遺伝子治療 サブレチナルに注入 海外で論文 有望
鑑別 Stickler症候群
クリスタリン網膜症
症状:中年期視力低下 視野異常
眼底:後局部に黄白色の結晶沈着、眼底所見と比べ意外と視力良い
遺伝子:CYP4V2遺伝子 常染色劣性
ERG:さまざま
鑑別:RPと混同される
眼底自発蛍光:斑状の癒合
高橋政代先生
網膜視細胞変性の原因
・錐体視細胞遺伝子変異―錐体ジストロフィ
・桿体視細胞遺伝子変異―桿体ジストロフィ
→錐体変性RdCVF
・汎視細胞遺伝子変異―桿体錐体ジストロフィ
・RPE遺伝子変異 -RPE不全症 (赤 網膜色素変性)
・RPE萎縮 -加齢黄斑変性
・脈絡膜萎縮 -コロイデレミア
RPE65遺伝子異常 遺伝子治療 Kondo, et al 2004
・Luxturna 2017FDA承認 米国1000-2000例
・片眼4500万
・RPE移植 RPE萎縮
・米国では子供で治療