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抗VEGF治療

当院では抗VEGF治療を行っております。

抗VEGF治療の対象となる病気は

抗VEGF治療の適応疾患

 ① 加齢黄斑変性
 ② 網膜静脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症
 ③ 糖尿病黄斑症
 ④ 近視性脈絡膜新生血管
 ⑤ 血管新生緑内障
 ⑥ 未熟児網膜症

になります。(当院では未熟児網膜症の治療は行っておりません。また血管新生緑内障に対する治療においても状況によって大学病院などの施設での治療をご紹介する場合がございます。)

当院で治療を行っている疾患について簡単に説明します。

加齢黄斑変性

 年齢を重ねるとともに網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積してきます。それにより物を見る中心部である黄斑(おうはん)が障害される病気が加齢黄斑変性です。

 加齢黄斑変性は「滲出型(しんしゅつがた)」と「萎縮型(いしゅくがた)」に分類され、「滲出型」の加齢黄斑変性が治療の適応になります。

 滲出型は異常な血管が網膜の黄斑部の下に形成され、網膜内に侵入して網膜が障害される病気です。

 異常な血管は正常の血管と異なり血液の成分が漏れ出てしまったり、血管が破れたりします。血液成分が漏れると網膜がむくみ(網膜浮腫)、網膜下に液体が溜まります(網膜下液)。そのために網膜が正しく働かなくなり視力が低下します。血管が破れると出血を起こし網膜を障害します。

 治療の目的は異常な血管の拡大を抑え退縮させ、視力を維持あるいは改善することです。視力が良くなることもありますが、視力が正常になることはほとんどありません。

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網膜静脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症

 網膜の静脈の根元もしくは枝の1本が詰まって、血流が低下するために、網膜の全体もしくは一部に眼底出血がおこる病気です。 

 程度は根本が詰まるのか、枝が詰まるのかで変わりますし、また枝が詰まるだけでも物をみる中心部である黄斑(おうはん)に影響が出る場合もあり急激な視力低下をきたすこともあります。 

 黄斑のむくみのために視力が下がってしまっている場合は早急に抗VEGF治療を行います。

 以前は長期間に及ぶ経過観察で浮腫が改善する場合もありましたが、早期に治療開始したほうが視力の予後が良いこという報告が多く、早い段階での治療が勧められています。

 視力が良かったり自覚がなかったりする場合は、様子を観ることがあります。また、ステロイド薬を眼球の外側に注入することもあります。

 黄斑のむくみがなかなか引かない場合や、病変範囲が広い時は眼内での出血や網膜剥離を予防するために、レーザー治療(網膜光凝固術)を行うことがあります。

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糖尿病黄斑症

 糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・神経障害とともに糖尿病の3大合併症のひとつです。

 血糖が高い状態が長く続くと、網膜の細い血管は少しずつダメージを受け、変形し小さな動脈の瘤(こぶ)を作ったり、詰まったりします。血管が詰まると網膜の血液のめぐりが悪くなり、網膜が酸欠状態に陥り、新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとします。

 黄斑(おうはん)付近に毛細血管瘤などが多発したり、血液の成分が染み出たりすることで、黄斑にむくみを生じてしまう状態が糖尿病黄斑症です。

 長年の積み重ねでできてしまった血管のダメージは元に戻すことはできませんが、抗VEGF治療により毛細血管の瘤(こぶ)を縮小させたり、血管の壁から染み出る血液の成分を減らしたりすることを治療目標にします。

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近視性脈絡膜新生血管

 眼球が引き伸ばされて近視が強くなると、網膜や脈絡膜という組織が非常に薄くなってしまいます。そのため、中心付近の黄斑(おうはん)でダメージを負ってしまうと脈絡膜に壁の弱い新生血管が形成されてしまい出血を起こしてしまいます。

 

 

 

 

上記の、①加齢黄斑変性や、②網膜静脈閉塞症、③糖尿病網膜症、④近視性脈絡膜新生血管などの網膜の疾患により、黄斑(おうはん)に浮腫(むくみ)が生じると、ゆがみや中心暗点(真ん中が暗く見える)、視力低下などの症状が出現します。

これらの疾患では、体内のVEGF(血管内皮増殖因子)という炎症物質が、新生血管の増殖や黄斑浮腫の悪化に関与していることがわかっています。

抗VEGF治療はこのVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することにより、眼内の新生血管を縮小させたり、黄斑浮腫を改善させたり、病気の進行を抑制する治療法です。治療は、硝子体注射という方法で行われます。初回の治療後は、病気の状態を見ながら追加の注射を継続していくことが多いです。

世界中の多数の研究から、近年は初期治療が非常に重要であることが分かってきております。抗VEGF治療を少なくとも月に1度の治療を連続3回(3か月)は行うことで網膜の中、もしくは下のむくみ・水たまりを確実に減らすことが大切です。つまり初めの治療開始が最も大事であるという事です。初めの治療を頑張っておくことで、数年後の視力が維持できるといわれています。

治療方法

治療は外来通院で行われます。

<治療の流れ>

 ① 麻酔薬を点眼します
 ② 目の周囲と、目の表面を消毒します
 ③ 極細の注射針を用いて、抗VEGF薬を眼内(硝子体内)に注入します

全ての工程は5分程度で終了します。

※日本眼科学会より引用

当院で行っている抗VEGF治療として、下記の薬剤の取り扱いをしております。

アイリーア®、ルセンティス®、バビースモ®

リスク

硝子体注射の傷口から細菌が入り「眼内炎」という非常に重い感染症を起こす事が報告されています。

一旦発症すると重篤な視力障害を引き起こす可能性がありますが、頻度は極めて稀です。

予防として、前後に抗生剤点眼を勧めています。

このページは日本眼科学会のサイトを参考にしてます。